5分以内で読める青空文庫の短編作品（82ページ目）

翻訳といふ仕事は、いろいろ理窟のつけ方もあるだらうが、大体に於て、翻訳者自身のためにする仕事なのである。

午後三時十五分にゴールデンゲートを過ぎてから、今迄にもう何時間経つたと思ふぞ。

一般に日本の人が、イエスとノーとをはっきり使いわけないということについては、度々、いろいろの人がいろいろの角度から関心を向けて来た。

朝から、空は暗く、チラチラ窓のふちから、雪が散りこぼれて來た。

○西側の腰高窓の床の間よりに机を出して坐った。

私が飛鳥の里に來たのは、秋も半ばを過ぎて、そこらの雜木林は金のやうに黄いろく光つてゐた。

野も、山も、青葉若葉となりました。

大きな山蜘蛛が、激しい溪流を、斜めに渡る姿を見た瞬間、水面にガバと音を立てて白泡の渦巻を残し、忽として蜘蛛が消え去る事がある。

過日『仰日』ならびに『檜の影』会からお手紙を頂き重ねてあなたからのお手紙拝見いたしました。

師匠東雲師の家が諏訪町へ引っ越して、三、四年も経つ中に、珍しかった硝子戸のようなものも、一般ではないが流行って来る。

平凡社の今度の「書道全集」は製版がたいへんいいので見ていてたのしい。

夫が豊多摩刑務所に入ってから、七八ヵ月ほどして赤ん坊が生れた。

私は今日までファンについてあまり考えたことがない。

人の生活に最も大事なのは、自分の生を愛し慈むの感情である。

はしがきこれは故夏目金之助先生が明治三十八年九月から東京帝國大學文科大學英文學科の講義として讀まれた Othello の筆記である。

もうそろそろ体に汗のにじみ出るころであつたから、五月を過ぎてゐたとおもふ。

おれは設計図なぞ持って行かなかった。

前日嘗て心理を論じ、心の能力を分ちて、智情意の三大部となして説き、且智の能力は此前に之を略論したり。

先頃、山川氏の『朱実作品集』を、いろいろの点から興味ふかく読んだ。

毎日のやうに隣りの鶏が庭へ入つて来る。

今の劇壇、それはこのままでいいと思う。

L※TA………悦子FAUSTA………幸子BEATA………福子悦。

我々には、相撲と言へば、春場所・夏場所の感じだけしかなくなつたが、誹諧の季題では、これが秋の部に這入つて居る。

毎年春と秋と一度ずつ先祖祭をするのがわが家の例である。

ぼくの最初の詩集『思弁の苑』を出版したのは、昭和十三年の八月である。

この時代のことで、おもしろい話がある。

はて知らぬ遠き旅に上った身は――木影に憩うことをしないのだ。

山と山との間に小さい川があります。

時は明治卅二年七月十二日夜、処は上根岸の某邸の構内の最も奥の家、八畳の間の真中に病の牀を設けて南側の障子明け放せば上野おろしは闇の庭を吹いて枕辺の灯火を揺かす。

私の今つとめている札幌の大学は、楡（にれ）（エルム）の樹で有名である。

音のしないように板戸を開けた、親爺は煙管を横ぐわえにしてじろっと此方を見た。

一、本書は、いわゆるボルドー本のテキストを、その忠実精確な複製というべきF. Strowski, F. Gebelin & P. Villey: Essais de Montaigne, 3 vol., 1906-1919 (Edition municipale de la ville de Bordeaux, imprim※e par F. Peck)Villey: Essais de Montaigne, 3 vol., 1922 (F. Alcan)Ar...

サークル活動をするものの心得として、よく云われる言葉がある。

私は、嘗て雑誌に発表した作品を、更に単行本に纏める場合、大概、一度は躊躇するのである。

この時局下に於る文化運動の意義は、それが運動として国民的性格をもつ以上、飽くまでも物質、精神両方面に亘る「生活力の強化」を直接目指すにあると思ふ。

最近二ヶ月ぶりで東京へ出た。

日本の文學に對して、僕は常に或る滿たされない不滿を持つて居た。

宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館今日は朝ハガキを書いたつきりでしたね。

明るいうちは風があつたが、陽が落ちると一処に綺麗に凪いで、街は夢のやうにうつとりとした。

誇大妄想狂幕末の志士は佳し。

あゝさうか、今日は土曜日だつたね。

御たより拝見しました。

その時分の私の住居は、下谷西町三番地（旧立花家の屋敷跡の一部）にありました。

お手紙拝見。

□永い間不如意な経済の遣繰りや方々の書店との交渉やそれからまだ外の細々した面倒な仕事と雑誌の編輯で疲れきつたらいてう氏は十月十二日に千葉県の御宿村へ行つた。

あはれなる廿日鼠倉田百三お手紙を有難う御座いました。

自殺を覚悟するとみな一種の狂人か、放心状態に陥る。

夏冬繁緒、河東茂生、滋岡透、そのほかいろいろ……田舎者の私は、みんな別々の人間のペンネームかと思っていた。

女医が癩救療に一地歩を築きたるは日本医学史に特筆すべき事実である。

○山の動く日來（きた）る。